2019年12月6日ビジネスではまず”主題”を言おう
話し方センターのベーシックコースや2日間集中セミナーでは、スピーチではまず「主題」を言う、ということをお伝えしています。
以前のブログでも書きましたが、主題とは、話の方向性のことです。
スピーチの主題ならば、
「些細なことでも確認しよう」
「相手の話をよく聞こう」
「お客様と信頼関係を築こう」
などが主題の例です。
これを最初に言うことで聞き手は、「ああ、そういう話をするんだな」ということがわかり、話が理解しやすくなります。
ところで、私は、この主題はビジネス会話においても非常に重要だと思っています。
先日、私が参加したミーティングで、こんなやり取りがありました。
Aさん
「Bさんの提案は本当に実現できるんでしょうか。」
Bさん
「この提案の実現には3つのステップが必要でして、1つ目のステップはすべての関係者の合意を得ることです。これには、関係各部の協力がどうしても必要になりますし、場合によっては専門スキルを持った方のサポートもいるかと思います。2つ目のステップは・・・」
Aさん
「あの~、Bさん。結局、何が言いたいんですか?」
Bさん
「ですから、この提案を実現するための3つのステップを説明してるんです。それで、2つ目は・・・」
Aさん
「いやいや、ステップの説明の前に、この案が実現できるとお考えかどうか聞きたいんですが。」
Bさん
「そもそもこの案は、今後、我々の働き方を変えていくことが必要であり、そのための具体策として考えました。今のままだと世の中の働き方改革に・・・」
結局、BさんはAさんの疑問に答えませんでした。
こういう場面は、日頃の会議でもよく見かけると思います。
Bさんは、Aさんの、実現できるかという質問に「実現可能です。但し、前提条件が3つあります。」と言えば議論が進んだはずです。
これがビジネス会話における主題です。
ビジネス会話では効率性・効果性が求められます。早く、正しく伝わることが肝要です。
そのためには、相手に自分の発言の方向性をいち早く知らせることがとても効果的です。
特に、会議での発言では、何が言いたいのか最後まで聞かないとわからない、という話し方をすると時間をロスしてしまいますし、聞き手にも伝わりにくいです。
「Aさんの意見に賛成です。」
「3つの中では、2つ目の案が良いと思います。」
などと、まず自分の主張を短く言うと、ぐっと話がわかりやすくなります。
これは、上司などに相談をする場合でもとても大事なことです。
「Yさん、ご相談があります。昨日、P商事にお邪魔したら、部長がいなくて課長と話をしました。今度納入する商品について話をしたんですが・・・」
といきなり、詳細な事実を話し始める人がいます。
これは、相談される側からすると、どういうことを相談したいのかわからないまま話を聞くことになるのでとてもストレスに感じます。
「私の判断でよいか確認させてください。」
「先方の真意がわからないので、アドバイスをいただきたいです。」
「誰に相談すればいいか、ご意見を伺いたいです。」
など、何を相談したいのか、ということを先に言うと、相手は安心して話を聞くことができます。
これも、一種の主題ですね。
話をするときには、まず話の方向性=主題を言う、ということを意識してみてください。