日本話し方センター社長・横田章剛のブログ

2019年12月30日論理的に考えるスタートは「分ける」こと


少し前、外出時に少し時間があったので、スターバックスでパソコンを開いてメールの確認などをしました。

その際、私の近くの席で仕事の打ち合わせをしている2人の方がいました。

2人の関係は上司と部下のようです。

何とはなしに話を聞いていると、今日の午後に取引先に資料を提出しないといけないが、まだその資料ができていない、ということのようでした。

部下「このままでは先方とお会いしても、たいした話ができないと思うのですが・・・」

上司「で、君はどうしたいの?」

部下「それに資料を作成するには幾つか確認しないと行けない数字もありますし・・・」

上司「じゃあ、その数字をください、と言って今日の打ち合わせは中止にすればいいんじゃないの?」

部下「でも、その数字をもらっても、分析に時間がかかりますし、ちょっと・・・」

と、このようなやりとりが延々と続きました。

この短い会話でもおわかりのように、この部下の人は物事の整理が全くできないまま上司に話をしています。

相談というレベルにもなっていないな、と感じました。

 

しかしながら、仕事上でこのような、何が言いたいのか、どうしたいのかわからない、という話をされる方は少なからずおられると思います。

この部下の方の頭の中は、きっと

「今日、取引先に提出する資料ができていない。どうしよう・・・」

と考えて、その焦りから、思考が停止しているのでしょう。

ビジネスのコミュニケーションは、ほぼ論理的に考えることで成り立っています。

この部下の方は、論理的に考えることが出来ていない典型のように感じました。



では、論理的に考えるには、どうしたらいいのでしょうか。

私は、そのスタートは、物事を分けて考えることだと思っています。

この部下の方は、そもそも仕事の段取りができていないことにも大きな問題があります。

しかし、そのことは除外して考えて見ても、こういうことを考えるべきだと思います。

・今日どのレベルの資料を作れば打ち合わせに提出できるのか

・その資料は打ち合わせまでにできるのか

・できない場合、今日の打ち合わせは延期できるのか

・延期できるとして、いつまで延期できるのか、それまでに資料は作成できるのか

・作成できない場合、それを作成するために必要なものは何か、数字か、作業時間か、作業人数か

このように、これからやるべきことをプロセスに分けて考えれば、上司も一緒になって対応を考えられたでしょう。

この例ではプロセスを分けましたが、論理的に考えるために分ける、ということはもっともっと色々な場面があります。

例えば、「この施策を行うメリットは?」というテーマで議論する場合、往々にして誰のメリットかを考えずに議論しがちです。

しかし、その施策に関わる人、つまり自社、他社、お客様、社員などのメリットに分けて考えてみる。

お客様も、既存のお客様、新規のお客様のメリットに分けてみると、発想が広がるだけでなく、具体的な議論ができます。

このように、物事を分けることが、論理的に考える出発点になります。

ぜひ今以上に、物事を分けて考える、ということを意識してみてください。
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