2020年1月3日論理的に話すためにまず必要なこと
日本話し方センターのベーシックコースは明日、1月4日に今年最初のクラスが開催されます。
ありがたいことに、年明け早々たくさんの方にご見学の申込みをいただきました。
今年も、一層皆様のお役に立てる話し方教室にすべく、創意工夫を重ねていきます。
さて、ご見学の方や受講生の方に、話し方に関するお悩みを聞いてみると、論理的に話したい、というご希望をお持ちの方が少なからずいらっしゃいます。
そういう方に「具体的にどんな風に話せるようになりたいですか?」と伺うと、なかなかうまく話していただけません。
あがり症を改善したい、日常会話ができるようになりたい、という方は比較的具体的にどういう時にそう思われたか、どういう風に話したいか、などについてお話しいただけます。
しかし、論理的に話したい、と仰る方は、相対的に具体的なエピソードを話しにくいようなのです。
では、なぜうまく話していただけないのでしょうか。
私が想像するに、そういう方にも、論理的に話せないなぁ、と思われた出来事があったはずです。
しかし、その出来事の具体的な場面やどういう会話があったか、その時どう感じたのか、などは詳しく覚えずに、論理的に話せていない、という言葉でくくってしまわれているように思えるのです。
察するに、ご自身でも話していて混乱されてしまい、どういう会話だったか説明できない状況になられたのでは、と思います。
残念ながら、こうした状況では、ご自身の話し方を論理的に改善したいと思ってもなかなか難しいといわざるを得ません。
論理的な話し方に限らず、話し方を改善したい場合、どういう場面でどういう話し方をしたのか、具体的に示してもらうことが必要です。
話すというのは一種の行動ですが、人の行動というものはすべて極めて具体的です。
その具体的な話、行動が明らかになれば適切な改善策もご提示できます。
一口に論理的に話せない、という表現でも、その言葉から想像されることはたくさんあります。
・上司に報告しているときに話が長くなってしまい、何を言っているのか分からない、と言われた
・話しているうちに次々と色々なことが頭に浮かび、それを次から次に話してしまう
・話す内容がうまく頭の中でまとめられないので、なかなか発言できない
・目の前の事ばかり気にして考えてしまい、先々に起こることを意識して話せない
これらは、どれも論理的に話せない、という表現に当てはまります。
しかし、具体的な事象はすべて異なります。
そして、なぜそうなるのかという原因も異なりますので、改善策もそれぞれ違います。
私たちは日常の中で、物事を抽象化してしまうことが頻繁にあります。
経験したことを他の場面でも活かすには、教訓として抽象化することは極めて有効ですので、抽象化することは決して悪いことではありません。
しかし、話し方を改善したい場合は、話した場面や会話のどの部分でどういうつまずきを感じたのか、などを具体的につかまないと、効果的な改善策は見つけにくいのです。
繰り返しになりますが、それは話す、ということは極めて具体的な行為だからです。
そして、その場面をとにかくきちんと説明できることが論理的に話す第一歩になります。
参考にしていただければ幸いです。